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コミュニケーションとカンバセーション

ある夫婦の例

奥さまの様子に危機感を持って、ご主人の提案でカウンセリングを受けに来られました。奥さまの表情には、あきらめや冷めた気持ちが感じられます。

自分から言葉を発しない奥さまに言葉を促すと、最近のご主人は育児や家事にとても協力的とのことです。ご主人の努力がうかがえます。

しかし、そんなご主人の様子を見て、「(それは助かるんだけど)そこではない」と奥さまが感じていることがしばしばあります。的には当たっているのだけど、中心ではなく端の方に当たっている感じでしょうか。

そのズレを解消するためにコミュニケーションを取ろうと試みますが、お二人だけではうまくいかなくてカウンセリングにお越しになるのはよくあるケースです。

コミュニケーション(狭義)とカンバセーションの定義

コミュニケーションとは「対人関係におけるすべての相互作用」と定義できます。これでは抽象的すぎる(カンバセーションも含まれる)ので、ここでは狭義のコミュニケーションを定義づけて話を進めていきたいと思います。

コミュニケーション(communicaiton)を辞書で引くと以下のように定義されています。

〔情報の〕やりとり、連絡、伝達
〔伝達される〕情報、メッセージ、手紙
〔お互いの〕共感、感情的つながり、ラポール
“communication”の検索結果(3366 件):英辞郎 on the WEB:スペースアルク

カンバセーション(conversation)を辞書で引くと以下のように定義されています。

「会話、話し合い、対談、雑談、座談、交際、社交」
“conversation”の検索結果(1803 件):英辞郎 on the WEB:スペースアルク

会話(カンバセーション)を手段としてメッセージや情報を伝え、お互いの理解・共感を深めるのがコミュニケーションと言って良さそうです。

コミュニケーション(狭義)の再定義

相手のメッセージや情報を受け取り、お互いの理解・共感を深める行動
自分のメッセージや情報を伝えて、お互いの理解・共感を深める行動

カンバセーションの再定義

コミュニケーションの手段・道具

心に描く絵を一致させる

ある例

「初日の出」を見に行く相談をしている夫婦が、それぞれ以下のような絵を心に描いているとします。

妻:「山の間から昇る太陽」
夫:「海の水平線から昇る太陽」

相手も当然、同じ絵を描いてると思って話を進めていると、どこかで噛み合わない場面が出てくるでしょう。本当に些細なことですが、このようなことが繰り返されると「いつも何、わけのわからないことを言ってるんだ」とストレスに感じるものです。

カンバセーションしているけど、コミュニケーション(狭義)が取れていない状態がイメージできると思います。

売れるセールスマンと売れないセールスマン

売れるセールスマンと売れないセールスマンには以下の違いがあると言われます。

売れるセールスマン
「お客様のニーズを引き出し理解して、ニーズを満たすものを提示する」

売れないセールスマン
「売りたいものの特徴・長所を説明して説得する」
「お客様はこれがほしいだろうと(確認せずに)思い込んで、特徴・長所を説明して説得する」

どんなに良いものであっても、ほしくないもの、必要でないものを勧められるのは、時には迷惑となります。私にはセールスの経験がありませんが、売れるセールスマンはお客としっかりコミュニケーション(狭義)を取っていると思っています。きっと間違いないはずです。

理解しようとする意識

夫婦・家族のコミュニケーションが難しいのは、お互いをよく知っているだけに、

「(言わなくても相手は)わかってるはず」
「(聴かなくても相手のことは)わかってる」

という考えが心のどこかにあるからです。上司・部下・同僚に対して似た考えを持っている場合もあるでしょう。その考えは、時には相手に対するいらだちを生みます。いらだちは、さらにコミュニケーションを悪化させます。

恥ずかしながら、カウンセラーも夫婦や家族のコミュニケーションにおいて、このワナに陥ることがあります。このワナから逃れるには、「(この件について、私または相手は)知らない」という姿勢でいることです。

知らないから理解しようと努めます。相手が知らないからしっかり伝えようと努めます。お互いが心に描く絵にはズレがあるという認識を持つことです。

カテゴリー:コラム

投稿日:2013.03.22
更新日:2019.05.27

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