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家族ライフサイクルと夫婦の危機

夫婦

人生の発達段階における課題と危機

発達心理学者のエリクソンは、人生を8つの段階に分け、それぞれの段階における発達課題と、達成できないときに陥る危機を示しました。ライフサイクル論と言います。

青年期の発達課題である「アイデンティティ(自我同一性)」が有名です。アイデンティティの獲得とは、「自分は他の誰でもない自分自身である」と自分自身の存在を確信することです。アイデンティティの確立に失敗すると、自らを失い混乱していくという危機が起こります。

家族の発達段階における課題と危機

個人と同様に、家族にも発達・成長の段階があります。家族ライフサイクルと言います。それぞれの段階毎に発達課題があるのも同様です。

発達課題の達成は、次の段階の良いスタートをもたらしてくれます。達成できなかったり不十分だった場合、次の段階にて不利な状態のスタートを強いられることもあります。

次の段階への移行期は、それまでの安定状態が崩されて、新たな安定に向かう不安定な時期となります。この時期に家族の問題が起こりやすいとされています。

子どもがいる家族の場合の家族ライフサイクルを以下に紹介します。6つの段階に分けられています。

第1段階 独立している未婚の若い成人の時期

心理的な移行過程

  • 親子の分離を受容すること

発達に必須の家族の変化

  • 自己を出生家族から分化させること
  • 親密な仲間関係の発達
  • 職業面での自己の確立

第2段階 新婚の夫婦の時期

心理的な移行過程

  • 新しいシステムへのコミットメント(責任を持って関わると名言すること)

発達に必須の家族の変化

  • 夫婦システムの形成
  • 両親・祖父母等の親族、友人との関係の再編成

第3段階 幼児を育てる時期

心理的な移行過程

  • 家族システムに新しいメンバーを受け入れること

発達に必須の家族の変化

  • 子どもの誕生に伴い夫婦システムを調整すること
  • 親役割の取得
  • 父母の役割、祖父母の役割を含めて、拡大家族との関係の再編成

第4段階 青年期の子どもをもつ家族の時期

心理的な移行過程

  • 子どもの独立を進め、家族との境界を柔軟にすること

発達に必須の家族の変化

  • 青年が家族システムを出入りできるように、親子関係を変えること
  • 中年の夫婦関係、職業上の達成に再び焦点を合わせること
  • 老後への関心を持ち始めること

第5段階 子どもたちの出立ちと移行が起こる時期

心理的な移行過程

  • 家族システムの出入り(子どもの独立や出戻り等)が増大するのを受け入れること

発達に必須の家族の変化

  • 二者関係としての夫婦関係の再調整
  • 親子関係を成人同士の関係に発達させること
  • 配偶者の親・きょうだいや孫を含めての関係の再編成
  • 父母(祖父母)の老化や死に対応すること

第6段階 老年期の家族

心理的な移行過程

  • 世代的な役割の変化を受容すること

発達に必須の家族の変化

  • 自分および夫婦の機能を維持し、生理的な老化に直面し新しい家族的社会的な役割を選択すること
  • 中年世代がいっそう中心的な役割を取れるように支援すること
  • 経験者としての知恵で若い世代を支援するが、過剰介入はしないこと
  • 配偶者やきょうだい・友人の死に直面し、自分の死の準備を始めること

(家族心理学 有斐閣ブックス 中釜洋子・他 2008年 より引用・一部改変)

段階の移行期に危機が訪れやすい

次の段階への移行期には、夫婦・家族の仕組みの変化が求められます。同時に夫婦・家族の構成員にも変化が求められます。ストレスがかかる時期です。成長のチャンスでもあり、危機でもあります。中でも第一子誕生時は危機が生じやすいと言われてます。

カテゴリー:コラム
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投稿日:2015.12.22
更新日:2016.12.10

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